2008年6月 2日

タスポの顔写真の必要性


taspo.jpg さて,どうして,たかが「たばこ」を買うのに,ICカード,それも顔写真付きのものが必要なのか(ちょっと大げさじゃないのか),その理由を知りたいと思って,あちこちさがしていたのですが,やっと公式サイトを見つけました・・・

 が,どうもこのページの記載は,(タスポ導入の)目的ではなくて,目的達成の手段の正当性を主張しているだけ,のような気がする・・・のは私だけ,でしょうか・・・


 詳しくは,「成人識別ICカード 「taspo(タスポ)」 公式サイト」を見て頂くとして,かえって疑問が増えてしまいました。

 余り整理されていませんが,論点としては,

1 顔写真の必要性は,「カード中央の『氏名』・『会員番号』・『顔写真』は、利用者を明確化することで本人への帰属性を高め、譲渡・貸与を防ぎ成人識別の厳格性を高める役割を担っています。」と説明されているが,肝腎の自動販売機は,ICチップの情報を読み取るのみで,写真と購入者の同一性を識別しているわけではないので,実質的な厳格化になっていない。

対面販売の際に,店員が,購入者と顔写真を見比べる(識別する)なら,意味がわかるのだが・・・

2 カードに,有効期限の記載があるが,これは,成人認証を行うサイド(社団法人日本たばこ協会(TIOJ)、全国たばこ販売協同組合連合会(全協)及び日本自動販売機工業会(JVMA))の方の期限なのだろうか。

まさか,「成人」という地位の期限ではないだろうから・・・

3 誰に商品を売るか,誰から買うかは,まさに私的自治の原則に関わる話だから,カードを持たない人には(成年であっても,自販機では)売らない,というのはありだと思うが,これが対面販売にまで及んだりした場合,消費者行政や基本的人権の観点から,どう考えるのだろうか。(成年外国人などはどうするのか,また米や塩だったら?)

4 カード導入の目的が,「未成年者の喫煙防止対策の一環」なのに,その負担を,成年者に求める政策的合理性は何か。(親権者等の保護者に求めるのならわかるのだが)

5 そもそも,たばこは,どのような権利関係で,誰が売っているのか。

自販機の所有者が,一斉に機種を導入した理由は何か。(社団法人日本たばこ協会等が強制できる理由がどこにあるのか)

 

なんだか,話の収拾がつかなくなってしまう気もしますが,ぼちぼちと勉強してみましょう・・・

2008年5月30日

なぜ後期高齢者医療制度は「保険」制度として成り立つのか

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  保険とは、「将来起こるかもしれない危険に対し、予測される事故発生の確率に見合った一定の保険料を加入者が公平に分担し、万一の事故に対して備える相互扶助の精神から生まれた助け合いの制度」と,一般には定義されている。

 で,はやりの「後期高齢者医療制度」(「長寿医療制度」)は,(言葉は悪いが),病人ばかりをメンバーとした「保険」なのに,なぜ「制度」として成り立つのか,この点に絞って勉強してみた。
 (以下,厚生労働省の「後期高齢者医療保険の概要」に基づく) 
 
  
 1 現時点での財源スキーム
  ・対象者(後期高齢者):1300万人
  ・医療費:11.4兆円(給付費:10.3兆円 患者負担:1.1兆円)
  ・給付費10.3兆円の負担割合
    後期高齢者の保険料:10%
    公費50%(国:県:市町村=4:1:1)
    支援金40%(健保や国保の被保険者(74歳以下の若者)が支援)

 これで,平成20年4月にスタートしたわけだが,対象者は増える(高齢化)が,支援金は減る(少子化)わけで,将来的にどうするのか,というのが,私の疑問なわけだ。
 
 これに対する回答は,上記資料の最後のページにあった。
 
 2 後期高齢者負担率の改訂方法について(一部要約)
  ・(現時点での)後期高齢者の保険料の負担率は1割,若者が負担する後期高齢者支援金の負担率は4割である
  ・今後,後期高齢者人口は増加すると見込まれる一方,若人人口は減少すると見込まれるため,後期高齢者の負担分は支え手が増えるが,若人の負担分は支え手が減っていく
  ・仮に,後期高齢者と若人の1割と4割の負担割合を変えないとすると,若人一人当たりの負担は,大きな割合で増加していくこととなる
  ・このため,「若人人口の減少」による若人一人当たりの負担の増加については,後期高齢者と若人と半分ずつ負担する
  ・(すなわち)後期高齢者の保険料の負担割合は,若人減少率の1/2の割合で引き上げ,後期高齢者支援金の負担率は引き下げることとする
  
 さて,この回答は,
 医療費の増大分は,割合として,後期高齢者の保険料の値上げで賄うことになる
 医療費の増大分は,割合としての負担率が下がったとしても,実額は増加するから,若人の負担額も増加する
 公費の負担割合については,触れられていない
という内容だ。

 よくわからないが,増えるのは自分(後期高齢者)の負担だ・・・
 で,この回答のシステムは,やはり「保険」に該当するのだろうか・・
 どうもすっきりしない・・定義の問題だろうか・・・
 
 私には,どうしても,単なる医療費助成制度にしか見えないのだが,皆さんはどうでしょう・・
 
 (余談)
 私のATOKでは,「若人」は,「わこうど」でしか出てこない。
 また,この資料の他の部分では「若年者」という表現になっている。
 もしかしたら,「若人」という言葉には,何か法律的に特別な定義があるのかも知れん・・・

 画像には,あまり深い意味はありません・・・・・

2008年5月29日

国民健康保険の税と料

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 後期高齢者医療がはやりだが,基本的なところが実はわかっていなかったので,この際調べてみた。
 


  •  国保は,国保税で徴収する自治体と,保険料で徴収する自治体がある。

  •   国保税の場合は,「地方税法並びにこれに基づく条例」,「保険料」は「国保法・地方自治法並びにこれらに基づく条例」が根拠法令となる。

  •   (国保)税は,公法上の債権であり,先取特権や5年の消滅時効など,(保険)料に較べて優位にある。

  •   で,税にするか料にするかは,市町村の判断。

  •   となれば,より強制力の強い「税」を選択するのは自然の成り行きで,専門家に聞いたところでは,約1800の保険者(市町村)のうち,約1600が「税」を選択しており,「料」を選択しているのは,都会の一部(の市町村),という認識だそうだ。

  •   ちなみに,「料」のメリットは,徴収が正職員でなくても出来る,(「税」の場合は吏員(正職員ですな)しか徴税できない),上限額が市町村の実情に応じて決められる,という2点のようだが,いずれも,払ってもらえなければ,絵に描いた餅・・・


 
 さて,はやりの後期高齢者医療制度についても勉強が必要だが,これは難しそうだ・・・
 とはいえ,高齢者しか新規参入しない「保険」が,どうして制度として成り立つのか,非常に興味深いところである・・・

2008年5月28日

税の代行収納 クレジットカードで払う まとめ

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 先日お約束の,クレジットによる税の代行収納のまとめ
 
  1 法的な解釈 

 
   
  2 メリット・デメリット

   ・その時にお金が無くても支払うことが出来る(住民)
   ・クレジットカードの利用により、ポイントを獲得(住民)
   ・ボーナス払い等支払いのバリエーションが増える(住民)
   ・事務手続きが電子化され,効率化につながる(行政)
   ・事務処理の効率化につながる(行政)
   ・新たな収納ルートの追加により、収納率/期限内収納率の向上が期待(行政)
  で,デメリットは
   ・手数料(地方公共団体がカード会社等に支払う)(行政)
    (所沢市の試験的導入では,定率1%)
    
  3 課題   

   通常のクレジットカード決済は,一件あたりの手数料が定率でかかるらしい。
   4万円の自動車税で1%だと,自治体は,400円をカード会社等へ支払うことになる。
   一方で,銀行・郵便局の口座振替及び窓口収納の手数料は限りなく0円に近い。
   また,コンビニ収納においては最大で60円/件という定額制になっている。
   
   従って,定率というカード決済の一般ルールがどこまで受け入れられるか,定率のコストをメリットに見合うものだと説明できるか,といったところが,普及の試金石となるのだろう・・
 
   なお,総務省は,「地方団体がクレジットカード会社に対して手数料を支払う契約とする場合は、当該手数料の水準については、他の支払手段における手数料との均衡を考えながら、当事者間で適切に決定していただくべき」という課長通知を出している。

  4 その他

   私の頭が旧いのかも知れないのだが,ちょっと疑問が・・・

  •    税の立て替え払いは,カード会社と住民の私的契約になる(はず)

  •    一方,公法上の債権である税金は,カード会社から入金があった時点で消し込まれる(多分)

  •    万一,住民が残高不足等で払えなくなった場合,残った債権は,公法私法,どちらの債権になるのだろうか・・

  •    (消し込んだ時点で債務は消滅し,公法上の債権がカード会社等に移転することはない,と構成せざるを得ない(強制執行権を与えるわけにはいかない)と思うが,そうであれば,定率の手数料は,未納の危険負担分を含むことになるから,保証料だと考えれば,安いもんだと思うが,これで正しいのか・・・)


(以下,参考リンク)

公金クレジット収納、先進3自治体が導入裏話を披露
現実となった税金のクレジットカード納付
自動車税のクレジット収納をアウトソーシングで実現
内閣府に対し「国庫金のクレジットカードによる納付」に関する要望書提出について
公金クレジットカード収納の導入(三重県玉城町)
クレジットカードによる公金収納は普及するか


なお,上記4に関し,

提案者の意見  本提案は、「クレジット会社等(「等」には、加盟店等との委託契約に基づき、加盟店等がその利用者等に対して有する利用代金等に係る債権を立替払いするプリペイドカード発行会社のような事業者も含まれる。)」に、「手数料等の債権の立替払(地方税法(昭和25年法律第226号)第20条の6第1項に規定する「第三者の納付又は納入」に相当する手数料等の第三者による納付又は納入をいう。以下同じ。)の委託」を可能とすることを提案するものである。
 「手数料等の債権の立替払の委託」(以下、「立替払の委託」という。)は、令第158条第1項に規定する「歳入の収納の事務の委託」又は令第158条の2第1項に規定する「地方税等の収納の事務の委託」(以下、両者をあわせて「収納等の事務の委託」という。)とは、以下のような点で異なる。
 すなわち
  1 委託する事務の内容については、「収納等の事務の委託」の場合には手数料等の支払事務に係る純然たる事務処理の委託であるのに対し、「立替払の委託」の場合には、受託者の出えんを伴う第三者弁済の委託であり、経済行為として異なる種類のものであること
  2 「収納等の事務の委託」又は「立替払の委託」の受託者(以下、単に「受託者」という。)のリスク負担については、「収納等の事務の委託」の場合には受託者は与信リスクを負担しないのに対し、「立替払の委託」の場合には受託者は与信リスクを負担するものであること
  3 これに関連して委託料の料金体系については、「収納等の事務の委託」の場合には、処理件数当たりの料金体系が通例であるのに対し、「立替払の委託」の場合には立替払金額に対する一定率とする料金体系が通例であること
  4 歳入の時期については、「収納等の事務の委託」の場合には手数料等の納付義務者(以下、単に「納付義務者」という。)が受託者に手数料等を納付した時期であるのに対し、「立替払の委託」の場合には納付義務者がクレジットカード等を利用して受託者に立替払の依頼を行った時期ではなく受託者が行政機関に現実に立替払を行った時期であること
  5 納付義務者と受託者の関係については、「収納等の事務の委託」の場合には事前の契約関係及び事後の求償関係が生じないのに対し、「立替払の委託」の場合には受託者の立替払に先だってクレジットカード利用者契約その他の契約関係が存在することが必要であり、また受託者の立替払い後は受託者と納付義務者の間に当該契約関係に基づく求償関係が生じること
などである。
 以上のような相違点を有する「立替払の委託」について「収納等の事務の委託」に係る現行法令を適用すると
  1 事務処理の手続について、令第158条第2項の適用を受けるのか
  2 与信リスクを負担する受託者の要件について、令第158条の2第1項と同じ要件でよいのか
  3 受託者の立替払の時期をもって歳入時期とすることに鑑み、納期限について特例を定める必要はないのか、等の疑問が直ちに生じる。
 したがって、「立替払の委託」は「収納等の事務の委託」とは異なるものと考えざるをえず、本回答のように「収納等の事務の委託」が認められていることをもって、クレジット会社等に「立替払の委託」が認められているものと考えることはできない。
 したがって、本回答は本提案に対する適切な回答になっていないと考えられるため、本提案の趣旨を踏まえた再度の検討を求める。

に対して,上記1の見解が示されている。
構造改革特区の第5次提案及び地域再生(非予算)の第2次提案に関する再々検討要請等に対する各府省庁からの回答について

2004年2月18日

都市とは


雑学ベースのお話ですが,下の件に関連して・・・

地方自治法上,都市(市)になるには一定の要件が必要でして,具体的には,県の条例で定めています。

 鹿児島県は,「都市としての要件に関する条例(昭和33年9月25日条例第35号)」で定めています。

ぐるぐるで,一番最初に出てくるのは,京都府の次の条例です。
http://www.pref.kyoto.jp/reiki/honbun/a3000093001.html
で,高等学校の要件が議論になったりすることがあります・・・

さらに,町になるべき要件も,県の条例で定まっていますが,現実問題として,町と村とはあまり権限に差がないので,こちらは問題になった記憶がありません・・・

以上,雑学モードでした・・・

都市の時代 大塩洋一郎論文集


 あれ,ずいぶん久しぶりの更新ですね・・
 忙しいわけではないんですが,最近暖かいせいか,なんだか眠くて・・

 えっと,表題の本が,お仕事の机の上に回覧でのっけてあって,ぱらぱらと拾い読みしたんですが,これがおもしろくて,結局,2日がかりで読んでしまいました。

 著者は,旧建設省総括審議官から花博の事務局長等をされた方で,本の内容は,都市計画法の制定経緯から都市の成り立ちに関するもの,交通と都市に関する考察など,多岐にわたっています。

 一番興味深く読んだのは,日本だけが,県と市町村が二重に都市計画決定権者となっている,というくだり。
 この理由を著者は,歴史的な地方統治の仕組みの中で,その時々の各省庁との相克を示しながら語っています。

 帰ってきてからのお仕事で,一番とまどったのが,「なぜ市町村ではなく県が,この地方分権の時代に,都市計画区域マスタープランを策定しなければならないのか」ということでした。

 結局,「都市計画法が前提する都市計画区域は,行政区域としての市町村の範囲よりも広い」のだと理解するほか無かったのですが,理論と現実は往々にして齟齬するもので,都市計画といいつつ旧建設省の補助事業しかのっていないとか,本件の場合は,例え隣接していても,都市計画区域は行政区域の中に定められている例が圧倒的に多いとかいうのが現状でして,で,この本は,なぜそうなのかが,結構深いレベルで語られています。

ちょっとおすすめです。
http://book.shinjusha.net/4787585266.html

2003年11月30日

H2A打ち上げ失敗


 久しぶりにテレビで山之内理事長を拝見しました。

 今ではほとんど話題に上らなくなった宇宙往還機を追いかけていた頃,何回か会議でご一緒する(もちろん私は後ろの傍聴席)機会があったのですが,H2Aの(事故の)話のたびに,「科学」と「産業」のギャップを考えさせられます。

 固体燃料を使う技術は成熟していて,これを使えばほぼ成功するのですが,固体燃料はペイロードに対する重量が大きいので,重たい物(衛星)を打ち上げるには液体燃料の方が適しているのですが,液体燃料は(その量が増えれば増えるほど)扱いが難しく,そのためH2Aでは,ブースタとして,ロケットの周りに何本か補助エンジンをくっつけて,推力を補う方式をとっています。

 すべて固体でまかなえば,打ち上げは成功はしても科学技術としての液体燃料の扱いの習熟は果たせないので,「科学」としては液体燃料に拘りたいのですが,「産業」としては,航空機の製造を実質的に制限された事の反動もあり,なんとしても「ビジネス」として成立するコストと成果が求められます。

 H2Aは1機100億円ほどで打ち上げられます(中の衛星は除く)。
 これは,H2の半額程度です。
 ペイロード(積み込む荷物=衛星の重さ)は,確かH2より大きくなっているはずです。

 宇宙3機関統合の中で,「科学」を「技術」に普遍化し,さらにコストをも視野に入れた「産業」にまで還元する行程を,「直ち」に行うことが,山之内理事長に求められていました。

 今回の失敗の原因が,報道の通りブースタと本体との切り離しが出来なかったことであれば,これは初歩的な(科学ではなく)技術的な過失であり,3機関統合や民間移行などの,科学以外の部分のマネジメントに問題があったと言わざるを得なくなるでしょう。

 仕事の成果という面からは,どうしてもアウトカムというか前線に目がいきがちになりますが,結局その前線もロジステック(兵站)に支えられている以上,組織なり仕事なりを全体としてコントロールする必要性を再認識させられた,今回の打ち上げ失敗でした。

(余談)
足利銀行には,1兆円の公的資金が投入されます。
これで,100本のH2Aを打ち上げることが出来ます。
もう少し,実験をさせてあげたいなぁ,というのが,素人なりの感想です・・

(衛星の価格はよくわかりませんが,4機で2000億円という話があったような・・・)

http://www.jaxa.jp/

追記
衛星の価格,有りました。
引っ越しする前の,日経の記事でした。
http://www.jca.apc.org/~altmedka/ron-16-jou.html
http://www.asyura.com/2003/bd24/msg/1068.html